「ストレンジ・メナス」の名言集

ストレンジ・メナス-交錯する世界-

出版社:ブイツーソリューション

発行日:2015/12/23

単行本:320ページ

プロローグ/14ページ:青木と誰か

耳元で誰かが囁いた。耳元だと思った。周囲に耳元で感じるほどの位置には
誰もいない。
(なんだろう?)青木は周囲を見回した。そこに見えるのはいつもの光景でしかなかった。
(気のせいだろうか?)
青木が自信をなくしかけたとき、再び声はした。
(えっ?)
今度はその声がはっきり聞こえ、なにを言ったのかがわかった。
『次の電車に乗るな!』だった。

 

第一章/27ページ:幸恵

〈助けて……あげます……あなたを……〉
「人」からかすかな、聞き取れるか取れないかのかすかな声で聞こえた。口からではない。頭の中に直接語りかけるような、そんな声だった。なによりも優しさに溢れていた。

 

第一章/63ページ:吉田と青木

「青木、俺が言おうとしたこと……言うから、ちゃんと聞いといてくれ」
「なに言ってるの。今はなんにも言わなくていいから」
「いや。今じゃないと、だめなんだ。でないとお前にもなにか恐ろしいことが起こるかも。俺は見たんだ。お前の……すぐ後ろになにか……暗い影のようなもの。……ひどく強烈な殺意を持った……なにかがいたんだ」
吉田の声がだんだん細くなっていった。

 

第一章/75ページ:幸子

「これは未練を残したり、地上で彷徨っている霊を封じ込めるご神木なんです。もうおわかりですよね。以前、青木さんを襲った霊はここに封じ込められているんです」幸子は見上げながらそう言った。


第一章/99ページ:幸恵

「茂さん。今度こそお別れみたいですね。これはきっと神様が私たちにくれた最後のプレゼントですね」幸恵は微笑んだ。

 

第二章/113ページ:青木

「えっ? 電車に乗らないことにした?」
あのときの僕とは違うじゃないか。青木は今日一日が当たっていただけに、過去の出来事も自分の記憶と同じでなければ理屈に合わないと考えた。だが過去が違うなら、現在も同じはずはないと考えるまでには少々時間がかかった。

 

第二章/134ページ:未来の幸恵と青木

「この前レストランで渡したもの。まだ見てないでしょう? あれはボールペンだったの。茂はあまり書くのが好きじゃないってわかってるけど。どうしても書いて欲しいことがあるの。それは私たちのこと。出会ってから今までのこと」
「わたし、信じてるよ。あなたがふたつの過去を持っていること。その両方をそのペンで書いて欲しいの」
「僕にそんなこと……」
「お願い。私たちのこと書いて。もうひとつあなただけの思い出も、みんな。書いてみて」
「大丈夫。私はずっとそばにいるよ」
そこで幸恵は目を閉じた。再び目を開けることはなかった。青木は号泣した。

 

第二章/146ページ:過去の幸恵

「ありがとう。わたし。あなたが大好き。いつかまた会いたい。会えるよね? わたしのこと忘れないで。わたしずっとあなたとまた会えること信じて、ずっと、誰も好きにならないから。待ってて」
幼い幸恵は微笑んだ。

 

第三章/217ページ:青木

青木は振り返って消えた方向を見た。
視線の先に信じられないものが見えた。道そのものが変化していた。
「どう……いう……こと?」
青木は絶句した。振り返った道。その道がさっき通って来た道ではなくなっていた。まるでタイムスリップしたようにアスファルトの道から砂利道に変化していた。青木が暮らしている周囲の建物と構造が明らかに違い古くなっていた。

 

第三章/235ページ:青木

(これ。どこかで見たことがあるような?)青木は疑心暗鬼のまま手にした。
その瞬間、青木の頭の中に失っていたすべての記憶が入り込んできた。ほんの数秒の出来事だった。数秒の間に数百、数千の映像が見えた。青木は我に返った。
「そうだ。そうだったんだ。思い出した。僕は未来から来たんだ」
青木はすべて思い出した。

 

第三章/292ページ:青木と山田芳夫

「しっかりしろ!」
山田が青木の弱まった手の力を補った。そうしている間に嵐は勢いを増していった。
「もう……無理です」
青木は自分から手を放そうとした。
「なにを言ってるんだ」
山田は踏ん張った。山田の手から血が滲み出していた。その血も嵐の中心に吸い込まれていった。お互いなにか喋っても聞こえないほど嵐は激しかった。目さえ開けることすらできない。青木は最後の力で山田にありがとうと叫んだ。

 

 

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