「ストレンジ・メナスII」の名言集

ストレンジ・メナスII-新たなる胎動-

出版社:ブイツーソリューション

発行日:2016/12/23

単行本:320ページ

第四章/19ページ:おじいさんと青木

「最初に言っておこう。うすうすわかっておろうが、ここはあんたがいた世界じゃない。ここはあんたのいた世界と少しだけ違う世界じゃ」
「少しだけ?」
「つまりあんたがいた世界と同じものと、違うものの両方が混ざっている世界じゃ」
「パラレルワールド?」
「パラレル? なんだ横文字か。ようわからんが、たぶんあんたのその考えは正しいようじゃな。それなら話は早い。本来の世界に戻りたいじゃろ?」
「本来の世界……」青木は思い出した。

 

第四章/30ページ:篠原の祖父と篠原刑事

「どうやらこれでお別れのようじゃな」寛治は二人に言った。
「どうして? お祖父さん。どこかへ行くのですか?」篠原は運転席から振り返って言った。
「すまん。ここにいたのはお前の命を守るためじゃったみたいじゃよ。これでわしの用事は済んだわけじゃ。お前も立派な一人前の刑事じゃ」寛治は優しく言った。
「それにな。わしはな。黙っておったが、わしが死んで以来ずっとお前のそばにいたんじゃよ。同じ刑事の道を進んだお前を守るためにあの世に行かんかった。息子は違う道を選んだが、お前は刑事になってくれた。嬉しかったよ」

 

第四章/50ページ:飯田父と青木

(それより今から重要なことを話すから聞いて欲しい。なぜかわからんが、君には言わなきゃいけない気がする)
(なんでしょうか?)
(人間は死ぬと自分の精神の世界に行く。自分自身の人生を振り返るんだ。記憶していることも忘れていることも全て確認する。引き出された記憶をもう一度頭に埋め込むんだよ。長い人生がほんのわずかの時間で体験できる。そこでこの世界のルールを案内人に教えてもらう。


再び地上に戻って自力で精神の世界に行けない人を探し、誰かに同じようにルールを伝える。
ただしこのルールは死んでいることに気付いていない人にしかを言えないようだ。特に身内には。
存在が近すぎて完全に今の記憶が消えずに邪魔をするかららしい。本当に生き返ったとき、消え残った記憶から錯乱することもあるようだ。伝えてから再び精神世界に行って裁きを受ける。
ひとりが誰かに伝えることで生き返れる可能性のある人の数は基本的に倍になる)

 

第四章/71ページ:ライフガイドと青木

「それはお教えできます。すべてあのときが原因なのです。大川さんの能力で山田さんと一緒に光のループに強制的に移動させられたとき。大川さんの目的はあなた方二人をしばらくの間、時と時の中に閉じ込めることでした。山田さんは強い能力で再び過去に戻った。同時にあなたは大川さんがあなたを解放するまでの間、光のループのなかに閉じ込められるはずでした。そのときあなたは気付かないうちに未知の能力に目覚め、使ってしまいました」
「僕が未知の能力に目覚めて、そして、使った?」
「はい。あなたはパラレルワールドを作ってしまったのです。こちらにいる新たな世界はあなたが生み出した理想郷なのですよ」
「僕が?」

 

第四章/84ページ:山田芳夫

「時間を行き来することは私自身何度も経験してきた。どうやら自分の意思で、一度戻った同一時間には二度目は戻れないということがわかったんだよ。特に命に関してだ。死ぬ予定だった人間、死んでしまった人間を助けられるのも一度きりだ。

 

君が一度、高速道路で両親を助け損なったときのことだ。大川も私も久美子も同一人物の意思で人の命を救えるのは一度きりしかないことを知っていた。今思えば、君が会った未来から来た人物となにか関わりがあるような気がするな。でないとこれまでの不可解な現象が納得できないんだよ。二度変えられないのは能力とかそういうことではなくて仕組まれているような」

 

第四章/106ページ:大川と青木

「お前なにを……」
「ごめんなさい。僕は間違っていました。あたなを心底憎んでいました。それが間違いだとわかりました。今さら言っても遅いかもしれません。本当にごめんなさい」
「お前……なぜ泣く?」
「…………」
「なぜだ。こんな私のために泣くのか?」

 

第五章/122ページ:青木と山田芳夫

「それでは今から再融合を始めます。山田さんあなたはここで元の世界にお戻りください」
「そうか。戻らなければいけないんだな。――じゃあ茂君。君とはこれでお別れだな」
「お別れって、その――つまり」
「そうだ。私は君のいた未来よりも遠くの未来から来た。君が本来の世界に戻るということは、私とはまだ知り合ってない時間に戻るはず。久美子とは知り合ったばかりの状態になるんだろう」
「そんな……」
ふたりは光の使者を見た。使者は頷いた。
「大丈夫だ。私はこれでも記憶がいいほうだ」

 

第五章/154ページ:青木と山田芳夫

「はいりたまえ」
(えっ? この声? まさか)
青木は別の意味で胸の鼓動が高鳴った。青木は思い切って扉を開けた。部屋の中のソファーに座っていた人物。
「久しぶりだね。いやそれは私だけだろう。君にすれば、私と別れてからわずか数日なんだろうけどね」
「…………」
「どうした? もう会えないと思っていたのかな。それとも、私のことを忘れたのかな」
「そんな……。そんなことはないです。忘れるわけはないですよ」

 

第五章/189ページ:青木と登場人物A

「やはり予言は本当だったんだ」
男性は青木の両手を掴んで泣き始めた。
「どういうことですか?」青木は戸惑った。
「生きていてよかった。本当にありがとう」男性の目頭が赤くなった。
「すみません……なぜ泣くのですか?」
「それは……あなたが私たちの救世主だからだよ」
「救世主? そんな。僕が? まさかなにか間違いじゃないですか?」
「そんなことはない。あなたの名前は青木さんでは?」
「はい。そうです」
「ならやはりあなたは救世主だ」

 

第六章/269ページ:青木と永井

「大丈夫。僕が助けてあげるよ。こう見えてもけっこう頼りになるんだよ」
青木は笑った。その笑顔に永井は疑問を感じた。
「なぜ? なぜそんな優しいことを言ってくれるのですか? 赤の他人じゃないですか」
青木は躊躇わずに答えた。
「目の前で苦しんでいる人を助ける。それが当たり前のことだからよ。僕の能力が君の役に立つのなら助けるよ。助け合うから人は生きていけるんだと思う」
「…………」
その言葉に永井は無言でボロボロと涙を流した。思い存分泣いた後で永井は言った。

 

第六章/284ページ:久美子と村山、大久保、石橋

(青木さん。弱気にならないで)
山田久美子の声だ。
(青木君。君はこれまでたくさんの苦難を頑張って乗り越えてきたんじゃないか。自分の力を信じるんだ)
次に聞こえたのは村山の声だった。
(あなたは強い人です。これくらいでやられはしませんよ)
次は大久保の声だった。
声はどれもが青木を励ますかのように聞こえてきた。声を聞くたびに青木の内なるパワーが蘇ってきた。そのパワーに恐れをなしたのは石橋だけではなかった。青木自身も信じられなかった。
青木の首を掴む石橋の手が蒸発を始めた。
「なんだ? この力は? この私が押されている……。どういうことだ」

 

第六章/317ページ:ソラと青木

「あなたは誰ですか?」
青木は少し身体を起こした。
「私はあなたを現実の世界に戻すために選ばれた者の一人です。あなたは石橋との戦いの後で今だ目覚めずに眠っておられるのです」
その言葉は青木にとって、まさに青天の霹靂だった。

 

 

 

 

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